ラウンドとは?
ラウンドとは、スタートアップあるいはベンチャー企業が複数回に分けて資金調達をする際の、各回ごとの資金調達局面のこと。シードラウンド、シリーズAラウンド、シリーズBラウンドという呼び方をする。厳密に「シリーズA」はこういうものという定義はないが、シードは創業前後、アーリーは創業後まもなく、シリーズAは初めて本格的な資金調達をする時期、といったところ。
「A種優先株式」「B種優先株式」など、初期ラウンドでは優先株式が発行される場合が多く、投資家にとってリスクの高い、まだ事業として拡大していけるかが不透明な段階での投資する投資家に、より優先的に何らかの権利が付与される仕組みがある。
ラウンドの定義
シード、シリーズA…などとベンチャー界隈では当たり前のように出てくるものの、ラウンドの定義は実は曖昧で、明確な定義は存在しない。
ユーザベースが提供する、スタートアップおよびベンチャー投資の支援メディアINITIALでは、「シード」から「E」までが一応定義されており、日本国内においては有力なメディアであるため、この定義がメジャーになっていくものと思われる。同様に「アーリーステージ」「ミドルステージ」といった言葉も人によって定義が異なり、だいたいこのくらい…というニュアンスで捉えるくらいでよい。
●ラウンドの定義についての参考記事
スタートアップの成長フェーズを知る(INITIAL 2019.11.21)
シードラウンド
INITIALの定義では「原則初めての外部資金調達」とある。外部資金調達のなかでもエクイティ(資本金)での調達。
起業する際は、どのような方法にせよ、資金調達が必要になりますが、たとえば自分の持ち出しであったり、近親者のからの借金があるが、投資目線を持つ第三者から初めて資金調達を行うことを「シード」と定義している。
ラウンドの定義を複雑化させる問題としては、企業や投資家が「プレシード」などシードの前の資金調達といった意味合いで用いるものがある。プレシードラウンドはそもそも何のプロダクトもなく、ただアイデアしかない状態で外部から資金調達で、シードラウンドは何らか検証可能なプロトタイプがあると捉えればよい。
シリーズAラウンド
INITIALの定義では、「原則、株価が変化しており、調達後企業評価額5億円以上」としている。
シリーズAに入る段階では、少なくともプロダクトが存在して売上が立っていることが考えられる。研究に時間がかかる事業だとしても、何らかの受託を受けつつ顧客ニーズを確かめられており、投資家が売り上げの成長をある程度は想像ができる状態。
プレシリーズAラウンドなどとも言われるラウンドもあり、これも多くの新参投資家を混乱させる要因になっている。プレシリーズAラウンドは、ざっくり言えば、プロダクトはあるんだけどいろいろな事情でまだ花開くかどうか怪しい状態でちょっと繋いでおくラウンド、と考えるとよいだろう。
シリーズBラウンド
INITIALでは、シリーズBラウンド以降を「原則シリーズA以降のラウンドを対象とする。対象ラウンドの調達前企業評価額と前回ラウンドの調達後起業評価額の変化が20%以上」とある。
シリーズB以降になると、ある事業の骨子ができており、赤字かどうかはさておき、一定の収入がある状態と言える。企業が資金調達する場合は、およそ1年の事業活動で発生するキャッシュアウト分を調達するのが目安で、その資金調達のたびに当然ながら企業価値が上昇していないと新たな投資家が参入してこない。したがって、「次のステージに進んだ」と数字的に言えるのは企業評価額がある程度上昇したときと言える。
もし、前回の資金調達時と同じ株価にしかならなかったら、それはまだ次のステージに進んでいないので「プレシリーズB」という言い方になるかもしれないが、ここまでくればもはや言葉遊びでしかなく、シリーズAにとどまった追加資金調達と考えるほうがよい。
ファイナルラウンド
特に定義されているわけではないが、IPO前の最後のラウンド。企業側で資金調達する担当者のパワーワードの一つ。
投資家は「もう上場目前なのだ」と思い込んでしまいがちだが、企業側の方便なので注意が必要。人によって「IPO前のラストファイナンス」といったりする。
(参考)ダウンラウンド
企業ごとに発生する資金調達ラウンドというイベントで期待される成果は、調達する企業にとっては「資金(キャッシュ)供給」ではあるが、既存の株主にとっては保有する株式の価値を上げる可能性のある1年に1回あるかないかの機会である。
そのため、基本的には前回の資金調達時よりも、一株当たりの株価は高くなっていることが普通である。事業がうまく行っていないのに、M&Aではなく、さらなる第三者割当増資によって資金調達する場合は株価が下がる可能性が高い。そのような株価が下がるラウンドを指してダウンラウンドと呼ばれている。
INITIALの資料によれば、年間で1~3%くらいがダウンラウンドになるそうだ。そもそも株価が下がるということは事業がうまく行っていないので、M&Aなどでイグジットする流れに進んでいくので、表には表れていないケースもあるだろう。
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