ソーシングとは?
ソーシングとは、ベンチャー投資においては投資先候補となる企業を探すこと。M&Aなどでも使われる言葉で、買収・売却の条件に合う企業を探すことを指す。単に候補を探すだけではなく、デューデリジェンスの手前までのプロセス、(探索、選定、接触、交渉)を意味することが多い。
ソーシングは、投資の一番最初のプロセスであり、投資家がよい投資を行うために非常に重要な位置づけである。ソーシングの結果得られた投資先候補のことをパイプラインと言ったりする。
ソーシングの流れ
探索・選定
投資家が候補となる企業と出会う方法はいくつかある。自ら探し出すという手段もあるが、ネットワークを持たない場合は不可能に近い。事業会社が最初にソーシングを行う場合は、VCを活用する手段がある。VCにLP出資をすることで、VCからビジネスマッチングのサポートを受けられる場合が多い。ビジネスや投資に繋がればVCにとってもメリットになるからだ。
投資実績が増えて行けば、キャピタリストやベンチャー企業内での認知も広がり、紹介してもらう可能性も広がる。一方で、投資経験が少ない投資家に有望な案件が回ってくるかどうかは厳しい。それまでに多くの投資家たちが見逃していたとは考えにくく、彼らが「NO」と判断した可能性は高い。
そのほか、ベンチャー企業との接点を持つ方法としては、ピッチ大会への参加がある。起業家たち自らやVC、銀行などが開催している。
探索で広く企業を見ると同時に、そこから自らの投資先候補としてマッチしそうな企業に絞り込む。そうしてリストアップした企業に今度は接触していくことになる。
接触・交渉
興味を持った企業には直接アポイントメントを取り、経営者との面談を行う。ただし気軽にアポイントメントをとることは避けておきたい。スタートアップは基本的に忙しく、「とりあえず挨拶だけ…」という無駄な時間を過ごす時間はない。接触する際は、資金調達やビジネスにつながる可能性を持って臨むことが求められる。
ベンチャー企業との面談では、市場、顧客、経営者のビジョン、ビジネスモデル、資金の使い道などをヒアリングし、投資判断の材料とする。
言葉だけでは投資判断は難しいので、より詳しい事業計画や情報を得るために、秘密保持契約を締結して進めていくことになる。M&Aや資金調達の話は非常に繊細な内容であり、ベンチャー企業にとっては自社のプランが出回ることは、競合の細心の注意を払う。投資家にとってもインサイダー情報になりうる。
ソーシングの実際
ソーシングの流れとしては前述の通りだが、実務としては泥臭い側面がある。
大手ベンチャーキャピタルでは、ソーシングから投資実行に至るまでの比率は1%~3%と言われている。100社に会って1社にしか投資していないという実態がある。
また、ソーシングのチャネルとしてははコールドコール(ゼロからの掘り起こし)と紹介が50:50くらいであるそうだ。コールドコールをそこまでの比率でやれるのは大手VCでないとリソースの面で不可能ではあるが、経済的なリターンしか狙わないVCにとっては、まだ誰にも知られていない有望株を掴むためには必要なのだ。
一方で事業会社はそこまでの人員をかけられないのが実際だ。そのため、紹介というある程度のスクリーニングがなされている企業からスタートするのがよいだろう。
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