【用語解説】第三者割当増資とは?

第三者割当増資とは? 用語解説
第三者割当増資とは?

第三者割当増資とは?

第三者割当増資とは、企業が新規資金を調達するために、新株を特定の第三者に割り当てて発行する増資方法です。特にベンチャー、スタートアップ企業においては、借入金での公募増資や株主割当増資に向いておらず、増資をする場合は、第三者割当増資によることが多いです。

   項目   公募増資株主割当増資第三者割当増資
特徴一般の投資家に新しい株式を公開して販売する。既存の株主に新しい株式を優先的に販売する。特定の第三者に新しい株式を販売する。
メリット・大量の資金を短期間で調達できる。
・企業の知名度を上げることができる。
・既存の株主の権益を守ることができる。
・株価の大きな変動を防ぐことができる。
・特定の第三者との関係を強化できる。
・必要な資金を迅速に調達できる。
デメリット・株価が下落するリスクがある。
・発行手数料などのコストがかかる。
・大量の資金を調達するのが難しい。
・既存の株主からの反発がある場合がある。
・既存の株主の権益が希薄化するリスクがある。
・第三者の影響を受けやすくなる。

第三者割当増資のメリットとデメリット

メリット

スピーディな資金調達

第三者割当増資の一番の特長は、比較的簡単な手続きで実施することができる点です。これにより、短期間での資金調達が可能となり、新規事業の開始や、急な資金需要に対応する際に、有効な方法と言えます。

公開募集増資や株主配当増資の場合、証券取引所への申請や公募説明書の提出など、多くの手続きが必要となりますが、第三者割当増資ではこれらの手続きが不要です。

とはいえ、目標とする資金調達額に達するためには、複数の投資家との面談を行い、デューデリジェンスが伴うため、実際には募集開始から半年以上かかる場合もあります。

事業の拡大と多角化

企業が第三者割当増資で調達した資金を適切に活用することで、事業の規模を拡大したり、新しい事業領域に進出することが可能となります。

調達した資金を既存事業のさらなる投資にまわし、先行投資を加速させることで事業拡大のスピードを上げるという戦略の場合、純投資目的のVCからの資金調達が向いています。

多角化という選択肢は、既存の事業展開では手が出ないようなところに向けて手を伸ばすために、事業会社のチャネルやサービスなどと連携することが前提とすることが多いです。

調達先を自分で決められる

この増資方法のもう一つの特徴は、株式を付与する相手先を事前に特定し、その相手先との間で取引を行うことができる点です。人気のベンチャー、スタートアップ企業の場合は、どのVCも資金を入れたがるので、言い方を選ばなければ、選び放題な状況もあり得ます。

もちろん、資金調達に苦慮する企業がほとんどなので、相手を選んでいる場合ではないケースはありますが、それでも株主が誰になるかが事前に分かる安心感は大きいでしょう。

デメリット

株式の希薄化

第三者割当増資を行うことで、既存の株主の持ち分が希薄化される可能性が高まります。これは、既存株主の権益を損なう可能性があります。

株主からすれば発行する株式数に占める自分たちの保有比率が多ければ、将来的にIPOやM&Aといったエグジットをしたときにメリットが得られます。投資家のポートフォリオのなかでリターン倍率が低くなる可能性があるので、第三者割当増資をする際には、直前の資金調達ラウンドと比べて株価を上げるて調達することが望まれます。

既存株主からの反発

既存の株主は、自身の持ち分や権益が影響を受ける可能性があるため、第三者割当増資に反対することが考えられます。特に、損失を防ぐために株式を手放す動きが見られることもあります。

資金調達ラウンドの状況によっては、既存株主が売り出しつつ、第三者割当増資を行って、シェア率のバランスをとる場合もあります。

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