ベンチャーキャピタル(VC)とは?
ベンチャーキャピタル(以下、VC)とは、スタートアップ企業にとっての主要な資金供給源の1つで、単に起業した者に資金供給するだけではなく、事業戦略や人材戦略にも関与し、ベンチャー企業をサポートする組織です。多くの場合においてファンドの形を組み、複数の企業からの出資によって設立されている。
例えばSBIホールディングスは、2021年4月に先端分野のスタートアップ、ベンチャー企業への投資を目的に1000億円規模のファンドを立ち上げている。このファンドには大手金融機関や地方銀行など100社以上が参画する予定となっている(参考:日本経済新聞 2021年4月13日 SBI、スタートアップ投資の新ファンド 1000億円規模)。かつ、投資先の事業成長のために出資先に対して投資先の企業とのミーティングをセットするなど、資金供給にとどまらないサポートを積極的に行っている。
このように資金供給だけではないサポートや、ファンドが巨大化している要因は複数ある。ベンチャー企業にはスピードが不可欠であり、起業チームはコアとなる事業要素に集中しなければならないにも関わらず、人事活動や広報活動、エグジットに向けた戦略なども欠かせない。創業チームは当然ながらその道のプロではないので、本業に影響が出る可能性がある。そこをVCがサポートすることで、ベンチャー企業にとっては成功の可能性を高まり、VCにとってもエグジットでリターンが得られる可能性を高めるwin-winの状況を作り出す。
ファンドの巨大化は、リスクヘッジでもあるが、立ち上がりで競合に勝つためには巨大な資金をもってスピード勝負に持っていくことも必要になる。ベンチャー企業に対し投資する企業が1社だけである場合、当然ながら他の企業へも分散して投資に回さなければならないため、資金供給量を絞らざるを得ない。資金量が大きければそれだけ柔軟に資金供給が可能となる。
目的
ベンチャーキャピタルの目的は、ベンチャー企業に投資して、その成長を支援し、投資した金額よりも大きなリターンを得ることである。
VCがリターンを得る、つまり非上場企業の株式を購入してそれを現金化させることを実現させなければならないため、投資先にIPO(上場による株式公開)やM&A(事業会社による買収)のために様々なサポートをすることになる。
目標
VCファンドの活動期間は、あらかじめ目安が決められている。通常8~10年程度がその期間である。この期間のなかでエグジットをさせることが目標である。
8~10年といっても、その期間の中でも区切りが存在する。イグジットするまでには時間がかかることが当然であるため、ベンチャー企業に投資するのは早いにこしたことはない。そのため、VCファンドが組成されてから最初の数年投資フェーズになり、残りの期間で投資回収していく。
ベンチャーからみたベンチャーキャピタル
では、スタートアップやベンチャー企業の立場からはベンチャーキャピタルとはどのような存在なのか。メリットとデメリットを整理した。
メリット
ベンチャー企業にとっては、事業を成長させるために必要な資金を調達する重要な存在。そもそもVCはベンチャー企業への投資を目的としているので、主要な資金供給源となりうる。さらに資金だけではなく、顧客となりそうな企業を紹介してもらえたり、VCによってはハンズオンで深く入り込み事業戦略や人材戦略などのサポートしてくれる。自分たちだけでは手が付けられない、手が付けられるにしても本業にかけるリソースを割いて対応しなければならないところをプロフェッショナルの目線からアドバイスをもらえる。この機能はハンズオンと呼ばれる。
デメリット
資金供給された現金は、すぐさま資本金となる。つまり株主になるということだ。起業まもない状態であれば創業者自身の預金や家族から集めて500万円だったところに、例えばVCから500万円の出資を得た場合、持ち株比率が過半になる(1株あたりの評価額が同じだとして)。そのため、起業家が自分の思うような活動ができなくなる可能性がある。ベンチャー企業は株主の構成にも気を配る必要がある。また、ベンチャーキャピタルのスタンスにもより、相性なども考慮しておくほうがよい。
コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)との違い
VCが複数の企業からの出資で組成されるのに対し、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(以下、CVC)は、通常出資元の企業は1社である。
VCの主な目的がファイナンシャル・リターンであれば、CVCの目的はファイナンシャルリターン(財務的リターン)よりは、ストラテジックリターン(戦略的リターン)にあると言われる。つまりIPOなどを最終的な目的とするよりは、既存事業との相乗効果に期待すたり、新規事業の創出を狙い、イグジットのひとつの手段として買収ということも視野に入っている。
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